雪解け

 不意に目が覚めた。下を見ると鴨が二羽、水面に顔を突っ込んで餌を探しながら川を流れていった。彼らは確か真冬のマディソン・スクエアでずっと氷漬けになっていたはずなのだが。何かそこに深い意味を見出した訳ではないが、覚えているのはいつもそんなものだと誰かが言っていた、私もそう思う。

 卒業式を控えた後輩に連れられて、大学の寮に初めてお邪魔した。みんなが明日の準備をしていた。気が引けると言ったのだが、かまわないとのことだったので仮装用の衣装にメッセージを書いた。あとは談話室でずっと漫画を読んでいて、そのまま炬燵で寝た。

 夢を見ていた、数回会ったことがあるだけの人物が、夢の中では重要な役割を果たすことが往々にしてある。彼女は私に愛とは何かと聞いた。私は無言で歩いていた。少しの罪悪感。走り出そうとしたら身体が重くて、夢だとわかった。