近づく遠のく

 最近はずっとホラー映画を見ていた、この季節はいつもそうだ。でもずっと酒を飲んでいたからあまり覚えていない。昔はどうやったらアルコールに依存できるのかわからなくて朝から無理矢理に飲んでみたりしていたが、今ではもう日に日に増える一方だ。限りなかったはずの時間はこうやって今日も同じ色に塗りつぶされて行く。

 イーライ・ロスのホステルがよかった、グリーン・インフェルノも。出町座でミッドサマーやアングストを見た。ファウンドも美しかった。でも一番怖かったのは悪魔のいけにえ。意識が近づいたり遠のいたりしている。私がこういった非日常にのめりこむのは生活からの逃避か、或いは現実に身体を繋ぎとめるための最後の手段か。

 昔映画が好きな女の子の家でドリーム・ホームというスプラッター映画を一緒に見たことがある。もう一度見てみたいと思ってNetflixを検索してみたけれど見つからなかった。もう忘れてと言われているみたいで伸ばした手はもう飲み干したビール缶を掴む。空っぽの手応えもまた日々の暗示だろうか。