退屈に関する考察

 枠を目掛けて石を投げこんでみる。枠の中には何本かの線が置かれていて、その内部を幾つかの部屋に分け、格子模様を作り出している。さらにその中の幾つかの部屋では既に投げた石が場所を取っている。投げた石は枠の中の新しい場所に落ちたり、あらぬ方向に飛んで枠の外へと消えて行ったり、あるいは元あった石とぶつかってそれを弾き出したり、あるいは弾き出されたりしている。見たところある程度の部分はもう埋まっている様だ。空いている部分に狙いを定めて石を投げたが、軌道は少し逸れ、隣の石とぶつかって、思っていたのとは違うところに落ちた。石を投げる、という動作が一定の時間ごとに繰り返されるものだとしたら、残りの空白が少なくなるに連れて次の空白を埋めるまでに必要な石の数、そして所要時間は飛躍的に増大して行くだろう。空白が多い間はどこに投げても石は概ねどこかに場所を占めることができたが、今となってはじっと狙いを定めても枠の中に収まることは殆どなくなった。わざと他の石を狙って投げてみたり、空白に気づかないフリをして出鱈目な方向に投げてみたりもしてみたが、結局のところ大した違いはないのだろう。