mirage

 いつも最後だと思って生きているけど、最後に何かをしようとも思ってないから、今日も少し記憶を増やすだけ。五年前には日々が点で、それを結んでいくと線ができていくようなイメージを持っていて、それはイメージとしては薄れてしまったけれど、最近ではより内面化されてきている様に感じる。

 

 朝起きるとまだ少し風が心地よくて、コンビニに向かう。帰るころにはもう新しい世界がやってきていて、新しいものが苦手な私は少しだけ古い、でもかつては新しかった時代の名残に逃げ込む。

 

 時間だ。気がつくと線はまた少し延びていて、時折それに触れたりして遊んでみる。戯れているわけじゃなく、たまには真剣に。

 

 水を待っている、私は水でできているから。酸素はいつからか配給制になってしまって、でも生きていくには十分な量だ。ずっと昔に打ち捨てられて、朽ちてしまった自販機に並んでいる、色褪せたドリンクみたいなラベルがついたボトルの蓋を開けて、私はせいいっぱい吸う。